
毎月の光熱費の請求を見るたびに気が重くなる。新しい家では、その負担を少しでも軽くしたい——打ち合わせの場で、そんな声をよく伺います。
ただ、設備のカタログを開くと選択肢が多すぎて、どれにお金をかけるべきか判断がつかないという方がほとんどです。この記事では、家庭のエネルギーが実際に何に使われているかというデータをもとに、投資すべき設備の優先順位を整理します。読み終える頃には、限られた予算をどこに配分すべきかが見えてきます。
住宅設備で光熱費を削減するなら、まず給湯設備、次に冷暖房設備、その次に太陽光発電という順番で検討してください。エネルギー消費の大きい順に手を打つのが、最も費用対効果の高いやり方です。
家庭で消費されるエネルギーの内訳を見ると、給湯がおよそ3割、暖房が2〜3割を占め、この2つだけで全体の半分以上になります。照明や家電をこまめに節約するより、消費量の大きいところを高効率な機器に置き換えるほうが、削減額はずっと大きくなります。
たとえば給湯。従来型の電気温水器は電気の熱をそのままお湯に変えますが、エコキュートは空気の熱を汲み上げるヒートポンプ方式のため、同じお湯を約3分の1のエネルギーでつくれます。この差は毎日発生し、10年、20年と積み重なっていきます。
・エコキュート:家族人数に合ったタンク容量を選ぶ。大きすぎると保温のロスが増える
・高効率エアコン:畳数表示より、断熱性能に合わせた容量選定を。過大な機種は効率が落ちる
・第一種熱交換換気:換気で捨てる熱を回収する。寒冷地や高断熱住宅ほど効果が大きい
・太陽光発電+蓄電池:自家消費率を高めるほど得。まずは発電のみで検討し、蓄電池は後付けも可能
・節湯水栓/高断熱浴槽:数万円の追加で給湯量そのものを減らせる、費用対効果の高い選択
・LED照明/HEMS:使用量を見える化すると、家族の行動が変わり自然に削減が進む
同じエアコンを設置しても、家によって電気代は倍近く変わります。設備の効率がどれだけ高くても、建物から熱が逃げ続けていれば、その分を機器が働いて補い続けることになるからです。
具体的に見てみましょう。断熱等級4の住宅と、等級6の住宅では、冷暖房に必要なエネルギーが3〜4割ほど変わってきます。等級6の家であれば、小さめのエアコン1〜2台で家全体をまかなえるケースもあり、機器の台数と本体価格まで下げられます。つまり断熱への投資は、光熱費だけでなく設備費の削減にもつながります。
順序としては、まず断熱・気密性能を確保し、その性能に見合った容量の設備を選ぶ。これが最も無駄の少ない組み立て方です。断熱が弱いまま高額な設備で挽回しようとすると、初期費用も光熱費も高止まりします。
窓も忘れてはいけません。冬に熱が逃げる経路の約5割、夏に熱が入る経路の約7割が窓とされています。樹脂サッシと複層ガラスの採用は、どんな設備より先に検討すべき項目です。
①光熱費削減は、消費量の大きい給湯と冷暖房から手をつけるのが効果的
②エコキュートや高効率エアコン、熱交換換気など、消費エネルギーそのものを減らす設備を優先する
③設備の性能を活かすには断熱・気密と窓の性能が前提。建物性能に見合った容量選定が鍵になる
設備選びは、カタログのスペックを比べる前に、どんな性能の家に載せるのかを決めることから始まります。そこが定まれば、必要な機器はおのずと絞られます。
ご計画中の建物でどれくらいの光熱費になるのかは、断熱仕様と設備の組み合わせで試算できます。具体的な数字で比べてみたい方は、お気軽にご相談ください。
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